一般社団法人日本マインドフルネス普及機構 JMPO 監修
マインドフルネスQ&A
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- マインドフルネスを体感・会得するのに必要な時間と期間はどのくらいですか?
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マインドフルネスを体験したその日に、呼吸に集中できて、リラックス感やすっきり感を得られる人もいます。とはいえ安定するまでには、毎日15分程度の瞑想を2〜3週間続けることが必要です。
さらに、心の動きに気づくには一般的には2〜3か月程度は必要ですが個人差もあり、半年以上かかる人もいます。
五感や心の動きへの気づきは、瞑想を繰り返す度、新たに生じていきます。その意味で、マインドフルネスは会得して終わるといったものではなく、生涯にわたって学び続け、気づき続けるものです。 - いつ実施すると良いですか?
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毎日のルーティンとしては朝がもっとも適していると言われます。朝が習慣化しやすいこと、また1日の始まりを充実した気持ちでスタートする意味でも朝が適しています。また、ストレスを感じたとき、気持ちが落ち着かないときなどに呼吸や体に注意を向けるのがよいでしょう。 それ以外には、エレベーターを待つとき、食事前、通勤途中、トイレに入ったときなど、ルーティンにしやすいタイミングで実践してください。
- どんな人がどんな目的で実践しているのですか?
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ビジネスマンやリーダー層では集中力や判断力のアップ、自己及び他者理解、ストレス対策、幸福の実現方法として用いられています。スポーツ選手の集中力のアップ、パフォーマンス向上のために用いています。 また、医療分野では、うつ病、不安障害、薬物依存、PTSD、パーソナリティ障害、発達障害、慢性疼痛等、多くの疾患に対する心理療法として用いられています。
- 習得するとどうなれるのですか?
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心が安定しやすく、集中力や判断力、学習能力が高まります。感情に翻弄されることが少なくなり、周囲と調和を取りやすなります。満足感や幸福感が高まります。免疫力のアップ、健康長寿、ボケ防止の効果も期待できます。
- 宗教の瞑想とはどう違うのですか?
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大きな違いはありませんが、いわゆるマンドフルネス瞑想では超能力を身につけたり、悟りを得る、輪廻転生を繰り返さない、他者の心を読むといった特別な能力や出来事等、科学的に説明ができなかったり、再現性のない効果を得るものではありません。このことを明確にしているのが、宗教との大きな違いだと思います。
- 瞑想時に姿勢を正してなるべく深い呼吸をするのはなぜですか?
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姿勢を正して呼吸することで、セロトニン神経が強化されやすく、瞑想効果が高まると言われます。姿勢を正すことは適度な緊張感をつくり、眠気を防ぎます。
なお、マインドフルネス瞑想では、自然呼吸が基本であり、「なるべく深い呼吸」をしようとはしません。 - マインドフルネスを続けると欲や競争心が減少すると聞きますが、仕事や勉強への意欲が下がるのではないですか?
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コンプレックスや優越感といった動機から仕事や勉強をしている場合、それらが薄れると意欲が低下することがあります。しかし、こうした動機はストレスを伴うため、長く続けると体調を崩すなど、他の問題が生じてしまします。一方、マインドフルネスでの気づきは、自己の価値観とむすびついた内的なモチベーションの発見につながります。
- 瞑想を4年間ほぼ毎日45分行っているのですが、いわゆる「入る」という状態は最初の1年目ぐらいの方ができたのですが、どう解釈すれば良いのでしょうか?
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一点に注意を集中する集中型瞑想のほうが気持ちが安定しやすく「入る」といった状態になりやすいでしょう。一方、観察型は五感を通じて入ってくる情報にオープンな状態をつくり、なおかつ判断や評価をしない状態を目指します。この状態に入るのは、かなり難しいのが実情です。マンドフルネス瞑想では、高い集中力を十分に維持継続できる前の段階で注意の対象をオープンにするため、心が乱れやすいとも言えます。
この段階では自身の価値判断が生じていないのでなく、生じていることに気づきながら、それを手放そうとしているために、むしろ落ち着かないことが起きているのではないでしょうか。
- 瞑想誘導ガイド、音楽、無音の状態での瞑想の入り方で順位をつけると最も効果があるのはどれですか?
それは何故ですか? -
初期の段階では、瞑想誘導ガイドがあるほうが実践しやすいでしょう。慣れてくるに従って、ガイドは瞑想の邪魔となり、ないほうが瞑想をしやすくなります。瞑想は五感に入る刺激をあるがままに受け取ることですので、気持ちを一定方向に導こうとする音楽などは五感をオープンに、あるがままを捉える行為とは逆行します。
例えば、マインドフルネス瞑想では、気持ちが乱れているときに、気持ちを落ち着かせるのではなく、気持ちが乱れていることそのままに気づくことが重要です。ここが単なるリラクセーション法とは異なります。ですから、リラクセーション音楽などを背景に流すことは基本的にはしません。自然音(明確に予想できない音)のなかで行うのがよいでしょう。
つまり、最初は瞑想誘導ガイドを使い、慣れてくるに従って、ガイドを減らし、最終的には静かな自然環境の中での瞑想がよいでしょう。 - 慈悲の瞑想をすると時に、人々の顔や動物の顔、嫌いな人の顔などを思い出す時にすぐビジュアルが浮かんでこず考えてしまうのですが、良いのですか?
ダメだとするとどうすれば良いですか? -
知人のことを思い浮かべる場合にも、ビジュアルとして思い浮かべることが得意な人、苦手な人がいます。どちらがいいというわけではなく、これは個性です。
ビジュアルイメージがうまく出て来なくても、その人のことを例えば名前でも何でも、何か思い浮かべることはできれば、それでかまいません。
- 寝たまま行うボディスキャンが好きです。
毎日ボディスキャンだけを行うとしたら、それでも良いですか? -
ボディスキャンだけ、呼吸瞑想だけ、歩行瞑想だけでマインドフルネスを深めていくことはできます。深まるに従い共通することが多いことにも気づくでしょう。
しかし、それぞれの瞑想法ならではの特徴があります。最初のうちは好みの方法だけに限定せず、各瞑想の特徴をつかんで後、ご自身に適した瞑想スタイルを作るのがいいかと思います。
とくに呼吸瞑想は最も基本となる瞑想法です。マインドフルネスを学ぶには、取り組んでいただく方がよいと思います。
- 1日に5分間の瞑想を10回やるのと、50分間の瞑想を1回やるのとではどちらが良いですか?
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瞑想になれるまでは、3分でも5分でもかまいません。また、最初のうちは50分の瞑想をしても、眠くなるだけかもしれません。なので、あまり無理をしないほうがよいでしょう。 ある程度まで瞑想に習熟してきた場合、「5分間の瞑想を10回」することは、「Being モード」と「Doing モード」の切り替え等、日常生活のなかで瞑想を役立てる効果があります。
例えば、ストレスを感じたとき、気持ちが乱れたときなどに、「Doing モード」から「Being モード」に切り替えることが有効ですが、そう簡単にできません。その訓練に役立つでしょう。
一方で、長い時間の瞑想では、雑念がどんどん出てきたり、体が痛くなる、眠くなるなど、瞑想の障害が多く出てきます。逆にいえば、15分程度までなら、誰でも気持ちよく瞑想ができますが、自身の心を観察するのはある程度の時間が必要となってきます。
このように短時間と長時間では意味が異なります。最初のうちは、「50分間の瞑想を1回」よりも、「5分間の瞑想を10回行う」ほうが効果があるでしょう。 - 瞑想をやるうえでのルールや決まりはありますか?
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いろいろと想定できるので、後で考えたいですね
(以下、例)
・超能力等の特殊能力を瞑想には求めない。
・ある特定のイメージが出てきたら、とらわれずに流す。
・ここでお伝えする瞑想は精神疾患の治療を目的とはしていない。
・精神疾患等、疾患のある方は主治医と相談のうえで行う。
・宗教団体とは無関係である。
・効果には個人差があり、保証するものではない。 - マインドフルネスの実践に適するタイミングや場所や環境はありますか?
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基本的には静かで安心できる場所で行ってください。朝に行うのが適していると言われます。
とはいえ、電車のなか、トイレ、公園のベンチ、散歩しながらの歩く瞑想など、安全な場所であるなら、とくに場所を限定するわけではありません。お昼休みや就寝前など、時間帯もとくに限定しません。 - 人々がマインドフルネスを活用している事例はありますか?
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■一般社会:ストレス対策、自己肯定感のアップ、周囲との調和、幸福度アップ
■ビジネス社会:集中力のアップ、柔軟性、創造性、リーダーシップ
■心理療法として:うつ病、不安障害、PTSD、発達障害、各種依存症等
■各種教育関連:子供が落ち着く、少年等の矯正教育、軍事訓練等 - 身体の健康診断のような具体的な測定の数値化、あるいはそれに代わる指標はありますか?
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いくつかのマインドフルネスに関する心理尺度が開発されています。また、ストレスに対する脳の反応の仕方等で部分的には測定可能になっています。
例えば、ネガティブな情報(たとえば恐怖など)に対して、反応しないのではなく、心の乱れから早く平常心に戻ることが知られています。 また、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の活性度合などを測定するといったことが考えられます。
とはいえ、マインドフルネスには様々な要素が含まれるため、現状では健康診断のように数値化するのはまだ難しいでしょう。