精神科医・心療内科で禅宗の僧侶でもある川野泰周氏による、安眠のためのレクチャーを7回に分けてお届けします。川野先生は現在診療を担当している睡眠クリニックにて、不眠に悩む患者さんの治療にマインドフルネスを取り入れています。マインドフルネス以外にも睡眠の改善に役立つ知識を教えていただきます。
Vol.6の記事では、良い眠りのために整えたい環境について語っていただきました。最終回の今回は、良い眠りのために摂りたい栄養と実践したいエクササイズについてです。
メラトニンの原料となるトリプトファンを摂取
良い眠りのためには、実は栄養も助けとなることが知られています。日頃の食事の中で、意識的にトリプトファンを摂取するようにしていただくのがお勧めです。これはメラトニンの原料です。カツオやマグロなどの青魚、豆腐や納豆などの大豆食品、果物ではバナナに多く含まれています。アミノ酸はチャージされて必要な時に製造に使われますので、寝る前にトリプトファンを取らなければいけないのではなくて、日々定期的にトリプトファンを摂取していればいいわけですね。しじみにも含まれているので、しじみの味噌汁と納豆で1日をスタートさせるのがいいと思いますよ。
エクササイズで副交感神経と交感神経の揺らぎを
夕方までにエクササイズをするのも非常によい快眠運動法です。副交感神経と交感神経のほどよい揺らぎを意識的に作ってあげてるんです。最近では副交感神経を刺激することに主眼をおいた書籍やグッズも多く出回っていますが、その場で副交感神経だけを刺激するのは限界があるということも、知っていただきたいと思います。むしろ、一旦は交感神経を刺激してあげて、その後にリラックスに導くのが副交感神経を誘導するために効果的です。実はヨガでも同じことをやっています。太陽礼拝などの運動量の多いヨガをやると汗ばんできて体温が上がります。でも、最後に必ずシャバーサナ・またの名を「屍のポーズ」というのをやりますよね。あれは仰向けになって深くリラックスするヨガのポーズです。実はマインドフルネスで言うところのボディスキャンをやってるのと同じ状態なんです。というよりも、ヨガのシャバーサナがボディスキャンのルーツになっているわけですね。つまり、覚醒と鎮静、興奮とリラックスの落差を使うことによって、穏やかな状態にスムーズに入ってゆくことができるのです。
寝る直前に激しいエクササイズをやってしまうと、身心が活性化されたまま布団に入ることになってしまって、リラックスが間に合わないんです。できればそういった負荷の大きな運動は夕食前にやっておいていただきたいと思います。夕食後にするとしても寝る2、3時間前までに済ませておくのがよいでしょう。寝る直前になればなるほど、運動負荷を落とした方がいいです。いつもジョギングをやっている人は散歩にしておくとか、いつも散歩の人はストレッチだけにするといった具合です。一番よいのは朝のラジオ体操ですね。まさにこれから身心を活性化させて活動を始める時間帯ですから、無理のない程度の運動が自律神経のバランスを整えるのに最適です。
自律神経ゆらぎを上手に生かしてバランスを維持
お昼休みには、15分くらいの短い仮眠をとるのも回復に効果的です。昼休憩が1時間あったら、30分でランチを食べて、残り15分くらいで休憩をして、そして最後の数分で深呼吸をしたり軽いストレッチをしたりしてリセットしてから午後の仕事に向かうようにしてみてはいかがでしょうか。それ自体が、活動、休息、そしてまた活動と、自律神経の揺らぎを上手に生かした調整法になるわけです。自律神経というのはぴたりと止まっていることがよいわけではありません。ご自身のライフスタイルに合わせて、ほどよく揺らいでいることが、バランスを維持するために大切です。
川野泰周
精神科医 / 臨済宗建長寺派林香寺住職
Text : 松田敦子
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