最高の眠りのための講義 Vol.6 ー良い眠りのために環境を整えるー

精神科医・心療内科で禅宗の僧侶でもある川野泰周氏による、安眠のためのレクチャーを7回に分けてお届けします。川野先生は現在診療を担当している睡眠クリニックにて、不眠に悩む患者さんの治療に治療にマインドフルネスを取り入れています。マインドフルネス以外にも睡眠の改善に役立つ知識を教えていただきます。

Vol.5の記事では、なかなか眠りにつけない時に実践したいマインドフルネスのボディスキャン瞑想についてお話ししていただきました。今回は、よい眠りの環境についてです。

寝る場所は寝る目的だけのために確保

良い眠りの環境についてお話しします。良い眠りの環境は、実は人それぞれで、適度に本がごちゃごちゃ置いてある方が落ち着く方もいますし、何も置いてない方が落ち着くという方もいます。例えば、好きなアニメのフィギュアがある方が落ち着いて眠れるという人もいるわけです。

一番大事なのは寝る場所は寝る目的だけのために確保することです。ワンルームであってもパーテーションを置くとか、観葉植物で仕切るなどして、そのスペースは眠るためだけのスペースという決まりを作るのが大事です。こうすることで、私たちの脳の中に「この場所に来たら眠る」という条件反射が生まれるんです。そこに行くだけで自然に活動モードから休息モードにスイッチが切り替わるわけです。

間接照明やアロマも効果的

夜は照明にも一工夫すると効果的です。直接光源が目に入らないようにしたほうがよいため、できれば間接照明を取り入れていただきたいと思います。光源からの光が直接目に入らないため、睡眠リズムが乱れにくいことが分かっているからです。

アロマテラピーを用いるのも効果的です。精油、つまりアロマオイルの種類は、できれば鎮静系のものがよいでしょう。柑橘系よりは薬草系、ティーツリーやサンダルウッド、お花でいったら、あまりにも華々しく咲く花の香りよりは、落ち着いた草木に小さくたとえばラベンダーやイランイランなどが良いかと思います。解説書やラベルに鎮静系、リラックス系という効能がかかれているのも目安になるでしょう。ただアロマテラピーでは、その人が心地よいくリラックスできる香りを選ぶということも大切で、人によっては柑橘系のレモンの香りが一番安眠できるということもあり得ます。メーカーが謳っている効能にあまりとらわれ過ぎず、店頭でご自身の嗅覚でリラックスできる精油を選んでいただくことをお勧めします。

睡眠導入には枕の形、布団やマットレスの硬さが重要

寝具に関しては枕がかなり重要とされています。枕は睡眠導入にも重要なのですが、寝たあとの呼吸の状態にも関わるためです。具体的には、首のカーブによって合う枕が異なることが分かっています。最近ではスマホやパソコン作業が長い人などに、首のカーブがまっすぐになってしまう「ストレートネック」が起こりがちです。こうした人は首をしっかりと支えられる枕の形が安眠のためにも、またストレートネック緩和のためにも効果的と考えられています。

でもどのような形状や高さの枕が自分に合っているのか、きちんと把握して購入することは簡単ではありません。そこで最近、寝具メーカーなどでしてもらえる体圧測定をしてみるのがお勧めです。体圧の分布、つまり体の重さをどこでどれくらい支えているかという状態を専用の機器で測定してもらうことで、理想的な枕をオーダーメイドで作ることができます。物によっては中のクッションの量を調節することで高さを変えられる枕もあります。こうした枕は2万円〜4万円くらいと高いのですが、枕は睡眠の質を左右する大切な要素ですから、ここは少し奮発して作るのも良いかと思います。

そして次は布団の硬さ、マットレスの硬さですね。このあたりも最近は高機能のマットレスが登場したため、ベッドでも、床に布団を敷いている人でも、マットレス一枚で、理想的な硬さにすることができるようになりました。先ほどの体圧測定を用いれば、マットレスの選択も簡単にできると思います。私たちは人生の1/3を寝具の上で過ごすのですから、丁寧に選んでみたいものです。

川野泰周
精神科医 / 臨済宗建長寺派林香寺住職

Text : 松田敦子

「最高の眠りのための講義」はRussellMEアプリ内で、音声でもお聞きになることができます。SLEEPカテゴリーの「安眠のためのレクチャー」というプログラム名です。なお、音声プログラムは一部内容が省略されています。ぜひ、ダウンロードして聴いてみてください。