最高の眠りのための講義 Vol.3 ー睡眠のリズムを作るホルモン、メラトニンの分泌を促すには?ー

精神科医・心療内科で禅宗の僧侶でもある川野泰周氏による、安眠のためのレクチャーを7回に分けてお届けします。川野先生は現在診療を担当している睡眠クリニックにて、不眠に悩む患者さんの治療にマインドフルネスを取り入れています。マインドフルネス以外にも睡眠の改善に役立つ知識を教えていただきます。

Vol.2の記事では、体温の上がり下がりや、朝決まった時間に光を浴びて、睡眠を促すホルモン、メラトニンがきちんと分泌されることの重要性を語っていただきました。今回は、そのメラトニンについて解説していただきます。

メラトニンって?

メラトニンは、松果体という視床下部の下に接合している内分泌器官、つまりホルモンを出す部位ろから分泌される、微量な神経伝達物質です。松果体はちょうど松の実と同じくらいの大きさであることから、この名前がつきました。

この松果体から分泌されるメラトニンは、睡眠リズムを作っています。脳の各部位に作用して、それが受容体に結合することで脳の機能を鎮める、そして、睡眠に導入するという作用が知られています。そのメラトニンを何がコントロールしているかというと、松果体の上にある松果体の親玉のような存在である、視床下部というところです。

安眠の勝負は朝!

この視床下部に直接網膜からの光の刺激が伝達されるようになっています。まず、外部から光が眼球を通して網膜に入ると、その刺激が電気信号となって両目から脳内に延びる視神経を通り、それが交差する視交叉という場所まで到達すると、それに接する視床下部に光の情報が伝達されるのです。膜に入った光刺激が視床下部に一瞬で伝わって、「朝ですよ」というメッセージが伝達されるので、視床下部は松果体に命令してピタっとメラトニンを止めさせるわけです。

そして人間の脳は、メラトニンが止まった後、4〜16時間前後で再分泌されるメカニズムを持っていることが非常に重要です。ですから今夜しっかり、寝たいと思ったら、勝負はもうその日の朝から始まっているというわけです。

朝に散歩して太陽の光を浴びる

寝る前にホットミルクを飲んだりリラックス系のアロマを炊いたりというのも、ある程度即時的な効果が期待できますが、もっと大事なのは、その日の朝にちゃんと光を浴びていたかということなんです。光を浴びるのは、光照射器具では1時間程度を要しますが、太陽光はそれよりもはるかに強力なひかりですから、たとえ5分でも10分でも効果があるとされています。曇りの日の太陽光でも、室内の明かりとは比べものにならないくらい明るいので、直射日光を見るのはよくありませんが、日光が降り注ぐ部屋で朝のひと時を過ごすのが重要です。朝起きて15分~30分程度、ゆっくりと散歩するのもいいですね」

*なお、本レクチャーはRussellMEアプリ内で、音声でもお聞きになることができます。SLEEPカテゴリーの「安眠のためのレクチャー」というプログラム名です。プログラムは一部内容が省略されています。

川野泰周(かわの たいしゅう)
精神科医 / 臨済宗建長寺派林香寺住職

Text : 松田敦子

「最高の眠りのための講義」はRussellMEアプリ内で、音声でもお聞きになることができます。SLEEPカテゴリーの「安眠のためのレクチャー」というプログラム名です。なお、音声プログラムは一部内容が省略されています。ぜひ、ダウンロードして聴いてみてください。