最高の眠りのための講義 Vol.1 ー「認知療法」や「マインドフルネス」で睡眠改善ー

精神科医・心療内科で禅宗の僧侶でもある川野泰周氏による、「最高の眠りのための講義」を7回に分けてシリーズでお届けします。川野先生は現在診療を担当している睡眠クリニックにて、不眠に悩む患者さんの治療にマインドフルネスを取り入れています。本シリーズでは、マインドフルネス以外にも睡眠の改善に役立つ知識を教えていただきます。

初回は、睡眠改善の治療における「認知行動療法」や「マインドフルネス」の効果についてです。

そもそも安眠とは? 

まずそもそも、何をもっては安眠と呼ぶか、その定義は人それぞれ違うという点に注意が必要です。4時間しか寝れないことは安眠と言わないことが圧倒的に多いのですが、ショートスリーパーの人は本当に4時間しか眠れないのです。ではこうした人たちが、自分は安眠できていないと感じているかというと、「私は4時間でちょうどいいんです」と言う人もたくさんおられます。このような体質の人が、もし6時間、7時間寝なければいけないという思い込みを抱えているとしたら、彼らにとっては一生涯安眠できない人というレッテルが貼られることになってしまうでしょう。

「認知行動療法」で睡眠に対するとらえ方を変える

夜中に1、2回トイレに起きることを非常に悩んで受診する方もおられますが、世の中の多くの人が夜中に1、2回トイレに起きているので、これを問題と捉えるかどうかは本人の認知、つまり心の中での捉え方次第なんです。睡眠障害の治療においては、私たちのものの考え方や受け取り方に働きかけて、気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりする治療方法、「認知行動療法」が効果的であることが知られています。この治療では、睡眠自体が良くなるという効果も認められますが、今の自分の睡眠が満足したものであるという風にとらえ方が変わっていくことで、睡眠が問題でなくなっていくという効果が大変大きくみられます。

寝るための努力をしない

よく紹介されるデータにまた、6時間以下の睡眠を2週間続けると、2晩徹夜したのと同じくらいのパフォーマンス低下が起こるというものがあります。しかしこれは実験に参加した人たちの平均であって、体質によっては6時間以下でも充足している人がいることも忘れてはなりません。

こうした少しずつの睡眠不足が蓄積する現象を睡眠負債と呼びますが、本当に自分は今の睡眠時間で足りているのか、それとも日々睡眠負債がたまっているのかを調べる良い方法があります。光をしっかりと遮蔽した部屋で、目覚ましをかけないでどれくれ寝続けられるか試してみるのです。普段よりも2時間以上長く眠れた人は、睡眠負債がある、つまりいつもの睡眠時間は十分でないと考えられますが、普段と同じような時間に自然に目が覚めた人は、いつもの睡眠で十分足りていると考えることができます。こうした根拠に基づいたものではなく、単に6時間睡眠だから正常にパフォーマンスできていないのではないかんじゃないかという負の思い込みが強くなっていくと、寝るための努力を惜しまなくなります。

睡眠に関する本を何冊も読んで、夕方何時までに30分の運動をして、寝る5時間前に運動をして、寝る34時間前に食事をして、お風呂はは低音浴で39度くらいの低温浴で20分入る、と一つ一つちゃんとルーティンを決めて実行したりします。こうした習慣はたしかに睡眠をある程度安定させることが知られていますが、あまりにも厳格に睡眠のための生活行動を決めてしまうと、そこからちょっとでも逸脱することに対しての罪の意識を感じたりしてしまいます。また、もしそこまでしっかりとルールを守ったのにやったのに寝れなかったらどうなるでしょうか。「こんなに努力したのに、眠れないなんて」と自己肯定感が低下してしまうでしょう。ここんなにやっても寝れないということは、自分はダメだというレッテルを貼ってしまい、マインドフルネスの状態からかけ離れてしまうわけです。それを予防するのが私の仕事の一つなんです。

マインドフルネスを続けるのも効果的

マインドフルネスを続けていただく中で改善してゆく患者さんの経過として、こういうパターンがあります。睡眠自体はさほど向に改善してないのだけれども、段々とご本人の捉え方が変化して、数か月後には「これでいいんですね。その言葉に安心しました。私はもう通院しなくても大丈夫だと思います」と言われたりするんです。私はこれは一つの睡眠障害の治癒だと思っています。こういう患者さんが10人に1人くらいいらっしゃるように感じています。すごい比率の高さです。10人に1 人の患者さんが睡眠薬などの薬物治療を受けずに、悩みが解決されて帰っていかれるわけです。

しかし残念ながら一般的な診療においては、こうした根気強い対応よりも強い薬を飲んで寝てもらった方が楽なので、病院ではこのような治療は軽んじられていると思います。日中によほど強い眠気があってパフォーマンスの低下をきたしている場合は別として、今の睡眠を受け入れることがとても大切だと私は考えています。そこにマインドフルネスや認知療法が作用するのではないでしょうか。

川野泰周(かわの たいしゅう)
精神科医 / 臨済宗建長寺派林香寺住職

Text : 松田敦子

「最高の眠りのための講義」はRussellMEアプリ内で、音声でもお聞きになることができます。SLEEPカテゴリーの「安眠のためのレクチャー」というプログラム名です。なお、音声プログラムは一部内容が省略されています。ぜひ、ダウンロードして聴いてみてください。

モーニング・ウェルネス・パーティ

AWAKEME

AWAKEME(アウェイクミー)は、朝のクラブでヨガ、瞑想、音楽&ダンスを楽しむモーニング・ウェルネス・パーティです。コンセプトは「ヨガ・瞑想・音楽&ダンスで心と身体を整え解放しよう」。

自分の内側に意識を向け、自分自身をあるがままに受け入れて、凝り固まった思い込みや想念に気づき、目覚め=AWAKEの旅に。

新たな自分を発見して、みんなで愛に溢れた世界を作っていきましょう。

私たちは自己肯定感を高めることを目的としたウェルビーイングコミュニティを形成していきます。