海外では常識? 教育現場でも導入されているマインドフルネス 自宅で子どもと実践

最近の研究では、マインドフルネスは成長段階の子どもの脳の方が大人より効果が出やすいということが分かっているそうです。続けると、幸福感が高まることや、失敗をポジティブに受け入れる対処法が身に付くと言われています。「子育てに効くマインドフルネス」や「マインドフルネス子育て法」といったマインドフルネスと子育てに関する著書の中で、子供のためのマインドフルネス・エクササイズを紹介している臨床発達心理士の山口創先生に、マインドフルネスが子供にもたらす効果、そして、具体的なエクササイズを6種類教えていただきました。

親が先にマインドフルになってから子どもにもマインドフルネスの練習を

子どもにマインドフルネスを教えるときには、まず親が先にマインドフルネスの練習をある程度しておくことが大切です。それは、自分が体験していないと、なかなかうまく教えることができないからです。子どもにマインドフルネスを教える場合、すぐに最初からうまくできるということはありません。大人でも最初からうまくできることはないので、当然のことですが。子どもは、少しやってみて効果が実感できないと、すぐに嫌になってやる気をなくしてしまいます。そのようなときに、自分の体験をもとに、「気が反れてしまうのは当然なんだよ」「今度は息をするときのお腹の動きなら感じられるかな」などとアドバイスができるからです。

そして大切なことは、子育てでイライラや不安を募らせているという人は、子どもの行動を、毎日のルーティン化された行動に当てはめて、「早くたべさせなくちゃ」、「早く寝かせなくては」などというように、目標や課題との関係で子どもを捉えてしまっていることにあります。ですからまずは親がマインドフルネスの練習をすることで、親自身が自分の子育てを客観的に見直すことができるようになります。そうした親の態度は、当然のこととして、子どもの行動を大きく変化させるのです。そのような2つの意味で、親が先にマインドフルになる必要があるのです。

子どもがマインドフルネスの練習を続ける利点

子どもの脳はまだ成長段階にあります。ですからマインドフルネスの練習を続けていると、その効果は大人よりも早く現れてくると考えられます。最近、海外でも多くの研究が行われるようになり、その効果もかなりわかってきました。

◇認知機能や実行機能が高まる

実行機能とは、脳の前頭葉が司っている、脳のプロジェクトマネージャーとも言われる機能です。私達は何かをやろうとするとき、過去の記憶を参照してどうなるかを予測したり、不安などの感情をコントロールしながらやります。そのように脳のさまざまな機能を参照したりコントロールしながら目標を達成するわけです。マインドフルネスを練習していると、実行機能が高まり、衝動的に行動してしまうことが少なくなってくるのです。また集中力が高まったり意思が柔軟に決定できるようになるということもわかっています。

◇発達障害の症状が軽くなる

たとえばADHDの中心的な症状は、前述の実行機能がうまく働かないことです。ですからマインドフルネスの練習を続けていると、症状が軽くなってくるようです。さらに不安や抑うつなどの症状を持っていることも多いのですが、そのような症状の改善にも効果があります。

◇幸福感(ウェルビーイング)が高まる

多くの研究で、マインドフルネスを学校で取り入れた結果、子どもたちの幸福感が上昇したという結果が出ています。たとえば日常で感じるポジティブな感情が高まったり、逆に不安や恐れといったネガティブな感情を感じることが少なくなるといった結果が得られています。

◇ストレスへの対処方法を身につけ、レジリエンスを高める

マインドフルネスを行うと、何かに失敗したとしてもそれを批判的に受け止めるのではなく、ポジティブに受け入れる対処方法が身につきます。そのためストレスがあっても元の元気な状態に戻してくれる、レジリエンス(しなやかな心)も高めてくれます。

海外では教育現場でも採用

マインドフルネスを学校で行っている大規模な研究を1つ紹介しましょう
(Mindful schools; https://www.mindfulschools.org/より)。

実験は、カリフォルニア州オークランドの公立小学校でおこなわれた。937人の小学生と、47人の教師が、マインドフルネスをおこなう効果を測定した実験です。

この地区は、生徒数が増えているのに教員数が少なく、教員のストレスもかなり高まって、バーンアウトしてしまう教員が多いことから、市が資金を出してマインドフルネスを試験的に導入したという経緯があります。

実験では、4つの側面について測定しました。まずはメンタル面(①注意力、②落ち着き/セルフコントロール、③自分に優しくすること、④他者に優しくすること)です。 

するとマインドフルネスの練習をする前と、した後では、②の「落ち着き/セルフコントロール」以外の項目で、大きく改善していました。

さらに、マインドフルネスの練習をおこなう前と、クラスの練習がすべて修了した3ヶ月後にもう1度測ってみた結果を比べてみました。するとやはり、②「落ち着き/セルフコントロール」以外のすべての項目で、マインドフルネスの練習効果が3ヶ月後にも持続していることがわかりました。

マインドフルネスの効果が練習の修了後も続いていくのは、脳の可塑性によって、脳レベルでの変化が起こったからだと考えられます。

またイギリスでも同様のプログラム(MiSP: Mindfulness in Schools Project)があり、多くの学校に導入されています。

子どものための6種類のマインドフルネスのエクササイズ

それでは最後に、幼稚園児から小学生中学生が楽しみながら実践できるエクササイズを紹介します。

■キャットウォーキング

大人向けの歩く瞑想をアレンジしたもの。幼稚園から小学生中学生向け。

足を肩幅に開いて立ちます。
少し膝を曲げます。
片方の足に体重を乗せて、もう一方の足をゆっくりと前に持ち上げます。
前に出した足はつま先からゆっくりと床に着きます。前に出した足全体を床につけて、床を感じます。
次に前に出した足に体重をゆっくり載せます。ネコのように。
すると後ろの足の体重が軽くなります。後ろの足を持ち上げ、前に出して、つま先からゆっくりと床につけます。
その前の足を床につけて床を感じます。
これを繰り返します。
顔もリラックスしましょう。
笑顔で自分に感謝しましょう。

■ライオンが寝ている

大人向けの呼吸法とボディスキャンをアレンジしたもの。幼稚園から小学生中学生向け。

仰向けに寝転がって、手は胴体の横に自然においてリラックスします。
全身をリラックスします。
両脚の下にある床の感覚を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします。
お尻の下の床を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします。
背中の下の床を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします。
腕の下の床を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします頭の下の床を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします。
全身の下の床を感じてみましょう。
息を吸ったとき、そして吐いたとき、体がどのように動きますか?
リラックスします。
顔もリラックスしましょう。
笑顔で自分に感謝しましょう。

■雲が流れていく

自分の心を客観的に捉えるトレーニング。小学校高学年向き。

あなたの心が空のように解放されて、広く、清んでいると想像してください。
何か考えていますか? あなたの考えていることが、雲のように空を動いていると想像してください。
その雲はあかるいかもしれないし、暗いかもしれません。軽いかもしれないし重いかもしれません。
その雲を、動くにまかせてください。雲の動きを変えてもいけませんし、止めてもいけません。
こちらに近づいても遠ざかってもそのままにしておきましょう。
その雲の後ろには、空は相変わらず広く清んで解放されています。

■海

自分の心を客観的に捉えるトレーニング。小学校高学年向き。

あなたの心が海のように広くて解放されていると想像してください。
何か考えていますか?あなたの考えていることが、波のようにいつも休むことなく動いていると想像してください。
その波は穏やかかもしれないし、荒いかもしれません。強いかもしれないし弱いかもしれません。
波が寄せても引いても、その動きを変えてはいけないし、波の中に潜ってもいけません。ただあるがままに動くに任せてください。
波が去ったら、そのあとには何も残っていません。広くて開放的な海があるだけです。

■快適な気持ち、嫌な気持ち

自分の考えをあるがままに捉えてからマインドフルに状態に戻るトレーニング。中学生向き。

自分の心の中をのぞいてみて、そこを流れている考えを眺めてみましょう。
あなたはなにか考えていますか?その考えをどのように感じますか?
愉快な考えもあるかもしれません。それを楽しんでいますか?
嫌な考えもあるかもしれません。それはどこかに行ってほしいですか?
愉快な考えだったとしたら、ただそれに「愉快」と名前をつけて、手放してください。
空を流れている雲のように。
嫌な考えだったとしたら、ただそれに「嫌」と名前をつけて、手放してください。
空を流れている雲のように。
あなたはその考えとの間にスペースがあることに気が付きましたか? 心はそこでじっと穏やかですか?

■怒りと不安の瞑想

ネガティブな感情と距離を置いて捉え直す自覚の方法を身につける。小学校高学年から中学生向き。

椅子に座るか、横になってください。
床か、クション、ベンチなどを感じ、その硬さを感じてください。
手をお腹の上に置いてください。
手の感覚を感じてください
呼吸をするたびに手が動くのを感じますか?
もし感じられたら、その動きを感じてください
あなたが怒りや不安を感じたときのことを思いだしてください
それはどこでしたか?
誰と一緒にいましたか?
何が起きましたか?
あなたは怒りや不安を感じているかもしれませんが、それは大丈夫です。
あなたは自分が怒りを感じているとか、不安になっているということがわかっている限り、怒っても不安になっても構いません。
それでは、もうそのことを考えるのはやめましょう。
代わりにお腹の上にある手を感じてください。
呼吸をするたびに手が動くのを感じますか?
もし感じられたら、その動きを感じてください。
何も心配しないでください。
ただお腹と手を感じてください。
最後に笑って、肩を払って自分に感謝してください。

いかがでしたか? ぜひ、自宅でお子さんとマインドフルネスのエクササイズを始めてみてみてください。

山口創(やまぐち はじめ)
桜美林大学リベラルアーツ学群教授 / 博士(人間科学)/ 臨床心理士

メンタリング瞑想アプリ「RussellME」では、音声を聞きながらお子様と一緒に実践できるマインドフルネス瞑想のプログラムをご用意しています。

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