うつを乗り越え、食べること、飲むことを通じてマインドフルネスを伝えるご飯セラピスト

何か特別なことをするわけではないけれど、忙しい毎日の中、美味しいご飯を通じて誰かと共に過ごす楽しみや、ありのままの自分でいられる時間を感じてほしいという願いを込めてお茶や料理を提供するご飯セラピストのKANAさん。”癒す”、”癒される”のに特別なことは必要ない。今ここ、目の前にあるものと向き合い楽しむ大切さについて根掘り葉掘り伺ってみました。

ーーごはんセラピストとはどのようなことをするのですか?

「特に資格があるわけではないのですが、私のご飯を食べると癒されると言ってくれた友人がつけてくれた名前で、せっかくなのでということで使っています。一緒に作るというより、ごく普通に私が作ったご飯を皆さんに食べてもらうというような場所づくりを8年前から続けています」

ーー日本茶アドバイザーの資格はどのようなきっかけで取得されましたか?

「精神的な病気をしたことがあり、実は料理を始めるタイミングと同時並行くらいで日本茶アドバイザーの資格を取りたいと思い、しんどかった頃からちょっと元気になった境目くらいのタイミングで資格について勉強し始めました。私はお酒が飲めないのと、コーヒーが苦手なので、何かを飲んでリラックスするとか、そういう時間を作れるものが欲しいなと思っていました。どうせだったら美味しく飲みたいし、楽しく選びたいので、紅茶、中国茶、日本茶の中から、日本人だし京都出身だし、日本茶を美味しく淹れられるようになっても損はないよねというところからスタートしました」

ーーRussellME プレミアムで担当されているクラスはお茶xマインドフルネスについてでしたが、ふたつを組み合わせようと思ったきっかけは何でしたか?

「お茶を飲むという行為はリラックスしますし、自分の気持ちを切り替えるひとつの方法だと思っています。自分が勉強してみて思うのは淹れている間に行う温度のコントロールだとか、お茶が入るのを待つ時間ってすごく丁寧で、目の前のお茶や淹れる過程に集中するので、他のことを一切取り払って今ここに集中するマインドフルネスの考え方と同じだなと思いました。なのでお茶を使ってマインドフルネスを一緒に楽しみませんか? という思いで取り組んでいます」

ーーマインドフルネスとはどこで出会いましたか?

「7〜8年程前に断食道場に行ったことがあって、そこでマインドフルネスという単語を初めて知りました。道場では、断食だけではなく心身を整えるという考え方のもと毎日ヨガや瞑想の時間が設けられていて、呼吸に集中することや今を意識するということについて学びました。」

ーー断食道場はどうして行こうと思ったのですか?

「単純にダイエットがしたかったからです(笑)。食べ過ぎたな〜とか、太ったな〜と思っていたので。その時はまだ心身ともに本調子じゃないというか、病気の一番ひどい時は過ぎたけど、まだまだ元気になりきれていないなという意識もあったので、心身を整えることに興味を持っていた時期でもありました。それより前のひどかった時は、何もしたくない、誰にも会いたくないという状態でした。それで、気持ちが前向きになってきた時に、このままではよくないなと思って日本茶や断食道場、お料理を人に提供することも含めて、今までの自分ではできなかったことにチャレンジしてみることを始めました」

ーー前向きになろうと思ったきっかけはどこにあったのでしょうか?

「私にとってすごく大きくて、今私が料理を続けていられる本当の原点だと思っているのは、まだ京都に住んでいた当時のカフェでの出来事です。オーナーさんは日本人なのですが、長くブラジルに住んでいたのでポルトガル語を流暢に話せて、旦那さんはカナダ人の方。京都大学のすぐ近くのカフェだったのでお客さんにも留学生がいっぱい来るんですよね。アメリカ人もいればロシア人の方もいて、どこの国の人か分からないような方もいっぱいいる。とにかく多様性のかたまりのような場所で、キッチンのコックさんはインドネシア人のゲイの方だったりするというような場所。そこにいると私が病気かどうかなんて誰も気にしていなくて、KANAはKANAでしょ? みたいな感じだったんです。それがすごく心地良かったですし、私が抱えていたうつという病気は自分を受け容れられなくなってしまう病気だったので、それでよいのだ、あなたでよいのだ、と誰も言葉にはしないけれど感じさせてくれる場所だったのは私にとってすごく大きな気付きとなって、私もお料理を通してそういう場所をつくりたいと思うようになりました。少なくともそこの空間にいる時は今のままの自分でいいと思ってほしいという願いは、今私が料理を続けている原動力にもなっていますし、それがRussellME プレミアムでお茶や料理で皆さんにお時間をいただく本当の理由です」

ーーKANAさんが思う心と体にいい料理とは何でしょうか?

「いわゆる栄養成分がどうだということではなくって、同じものを食べていても罪悪感を持って食べていると良くない。これが美味しいものだと思って食べると体にいいものとして体が受けつける、ということを断食道場で聞きました。体によくないとしても無性に食べたくなることもあるし、どんなに栄養バランスが整っている食事でも一人ぼっちで寂しい気持ちで食べても心も体も美味しいものとして受け取れないので、食べる時間をどれだけ充実にしたものにできるか、目の前にある食べ物や共に過ごしている人とどれだけちゃんと向き合えるかどうかが大事だと思います」

ーー手軽に作れる料理で冬におすすめなものは何かありますか?

「手軽と言ったらお鍋が一番手軽なのですが、もう少し何か作ってみたいということであれば、豆乳が嫌いでなければ豆乳スープがおすすめです。お肉でもお野菜でもお魚でもよいのですが、今の時期ですと例えば鮭が美味しいので、鮭を少し油で炒めたところに玉ねぎや人参、じゃがいも、ネギなどお家にあるお野菜を全部入れて、お出汁はその日の気分でコンソメや中華、和風でもいいので入れたら最後に色付け程度に成分無調整の豆乳を入れたらすぐ火を止めて完成。グラグラと煮立ててしまうと、豆乳が固まって見た目が悪くなるので要注意です。豆乳が入っているとイソフラボンという成分が女性の美容やホルモンバランスにもよいと言われているので、いつものスープが一手間で見た目の彩りも良くなります。豆乳の量については、私は200ml程度の紙パック1個あれば十分です。残ったら次の日冷やご飯を入れてリゾットにしてチーズを入れても美味しいですよ」

ーー今は様々な食材が多様に存在しますが、何が体にいいものか判別が難しいかと思います。その上で私たちは日々の暮らしで食べることにおいてどんなことに気をつけたらよいでしょうか?

「食材を選ぶ時に丁寧につくられたと感じるものを買うようにしています。スーパーに行った時に、ちゃんと育てられたんだなと思う野菜を選ぶとか。大量消費、大量生産でつくられたものではなく、生き生きとしているような野菜、魚を買っています。作る時も目の前にあるものを活かして、いろんな味を足し過ぎず素材の味を感じられるように作ろうとは意識しています」

Text:室町亜希
Edit:松田敦子

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