長年に渡りトップ講師として走り続け、多くの講師を輩出されてきた山本俊朗先生(以下トシ先生)。最近では二拠点生活へと移行し、ますます自由な風を吹かせながらも、年々進化し続けるその教えは幅広い層から支持されています。軽やかな笑顔とヨガに対するストイックな姿勢が絶妙なバランスで覗くトシ先生にお話しを伺いました。
ーヨガとの出合いはいつ頃ですか?
僕が中学生の頃に母がヨガを習っていたんです。今から30年前くらいですね。その頃って第二次ヨガブームがきていて、まだレオタードを着てヨガをするような時代でした。その頃から母に習って僕もヨガに触れていたけど、ずっとサーフィンをメインでやっていたので、サーフィンに役立てるためにヨガの呼吸法やストレッチを取り入れていました。ヨガを本格的に学び始めたのは28歳くらいです。
ーどんな経緯でヨガ講師になったのですか?
ヨガのインストラクターになるからにはちゃんとトレーニングを受けて勉強しようと考え、ティーチャートレーニング(以下TT)を受けられるヨガスタジオを探しました。当時は、なにしろ選択肢が少なかったのですが、僕はヨガをライフスタイルに取り入れたいと考えていたので、ハードすぎず、しっかりとしたインストラクターを輩出しているスタジオに通うことにしました。当時は静岡県浜松市に住んでいたのですが、東京に1年間一人暮らしをして渋谷のスタジオに毎日通っていました。

ートシ先生ってやると決めたらとことんやるんですね!では日々練習されていたんですね。
朝は宅配業者でバイトをして、終わったらすぐにスタジオに行って、TTはだいたい週末だから平日は毎日3〜4本受けてました。そこでアーサナは鍛えたかな。
そんな感じで1年間みっちりヨガを学んで、そこから静岡に帰りました。そこからは名古屋のスタジオでクラスを持たせていただいたので静岡から通っていました。あとは自主開催のクラスをしていましたね。
ーすぐにレギュラークラスをもらって教え始めたとは、順風満帆ですね!
ありがたいことに、当時はまだ男性講師が少なかったというのもありますね。とはいえ、僕らの世代はみんな下積みを経験をしたと思います。僕の場合、名古屋は遠いので教えに行く際には必ず2本はレッスンを担当させてもらっていたんですけど、お金がないからスタジオに泊まらせてもらってスタジオの中で寝ていたんですよ。マットを3枚くらい敷いて、ボルスターをうまく使ってブランケットを掛けて寝ていた。朝起きたら自分の練習をして、ウェイクアップっていうクラスをして、また名古屋の違うスタジオに行ってクラスをさせてもらって。出稼ぎみたいな感じで3年くらいやってたんじゃないかな。静岡に帰ってくると自主開催のクラスをして、東京にも勉強のためにしょっちゅう通っていました。
ー講師の鏡ですね。
好きでやっていた感じですけどね。
ーそれだけヨガの学びに触れるっていい時間だったんでしょうね。
学ぶのはすごい楽しくて、哲学とか解剖学もずっと学び続けていたかな。
ー静岡での自主開催クラスはどうでしたか?
最初は2〜3人くらいしか来なかったので、当時はSNSもないしチラシを作って配っていましたね。そのうちに静岡でヨガをしている人たちと繋がっていくにつれ、コミュニティができてきたんです。当時クラスに来てくれる人たちはコアな人たちが多くて、一緒にヨガを深めていく意識を持ってくれました。そういう人が少しづつ増えていって、結果的にしっかりと関わっていける生徒さんたちが集まって練習していたんです。
ーああ、それはいい雰囲気だったでしょうね!
当時は他のスタジオでもコアな人たちが集まって練習していましたね。気合いを入れて受けないといけない先生がいたりとか。ヨガの練習が今よりもっとコアでしっかり練習していて、カジュアルさはそこまでなかった。ヨガの深め方をみんなで探求していましたね。その時はその時でよかったなと思います。
ー光景が目に浮かぶようです。そんな下積み時代を経て今のトシ先生があるんですね。今はどのように活動されているんですか?
今は奄美大島と鎌倉でデュアルライフを送っていて、オンラインレッスンをメインに活動しています。これまで10年くらいは地方を周ってワークショップをしていたんですけど、コロナ禍により難しくなってしまったので、オンライン化しました。奄美では主にオンラインで活動して、鎌倉に戻った時は鎌倉周辺のスタジオを借りてワークショップしたり、東京でも月に1回自由が丘で対面クラスをしたり。イベントクラスやTTは対面で行っています。対面とオンラインを使い分けていますね。
ートシ先生はバランス感覚に優れていらっしゃると感じます。生活スタイルも憧れますが、奄美大島に住まわれたきっかけってあるんですか?
ずっと熱心に通ってくれていた生徒さんが奄美大島出身の方で、ある日地元に戻ることになったときに「ぜひ1度来てください」と言われたんです。サーフィンにもすごくいいみたいだし、じゃあ1度行ってみようと思って訪れたんです。そしたら、もう自然がすごく良くて。世界遺産になっただけあって、自然が色濃くあるんです。これまでにも色々な島に行ったけど、ここは五大元素がしっかりあるなと思いました。島の人々が自然をちゃんと守っているんですよね。みんながここに来たら五大元素のヨガがより浸透すると思えたし、ここでしたいことのイメージも膨らんだので、奄美大島に住むことを決めたんです。

ー五大元素のヨガとおっしゃっていましたが、トシ先生といえばファイブエレメンツヨガですね。どんなヨガですか?
現代的なハタヨガスタイルとして体形づくりをして、2015年に「philosophy of five elements yoga®️」の商標登録を取りました。自然の五大元素である「空地水火風」に科学的な解剖学的根拠を落とし込んでいます。元素一つ一つに身体配置がなされ、アライメントとアジャストメント調整方法があります。そして、僕が専攻しているタントラ哲学の教えを組み込んでいます。タントラ哲学はすべてのものに美や神聖さを見出す教えです。このように、フィジカルとメンタルに特化していくハタヨガ形態がファイブエレメンツヨガです。
ートシ先生はTTを主催されていると思いますが、実際にこれまで何人くらい輩出されたのですか?
これまでの様々なTTを全て含めると500人くらいだと思います。
ーそんなに!スクール所属ではなくお一人でそれだけの人数を輩出されているってすごいですね。TTはどれくらい続けられているのですか?
6年目です。一ヶ所で教えるわけではなく、地方を周って色々な土地でやってきたからこそですね。それに、大手のスクールでもTTを担当していたので、それも含めてです。
ーTT卒業生だけでそれだけ教られていると、通常クラスやイベントでどれくらいの人数を教えたのかはちょっと数えきれないですね。
そうですね。ありがたいことにそういう経験をさせてもらいました。TTを開催するまでも色々と学んできたし、今もブラッシュアップをずっと続けているので、これからもTTで伝えることは続けていくと思います。
ー本当にすごいですね。トシ先生って、二拠点生活されているからか、自由を尊重されているイメージがあるんです。自由でありながらもそれだけ教えられるってなかなかできることじゃないですね。
今の生活スタイルになる前は、ワークショップとTTを結構やってきたんですよ。少なくとも6年以上はやりましたね。今はオンライン化して自由度が増したとは思います。それはいいことですよね。

ートシ先生の生徒さんって、ヨガを深めたい方も、ヨガに少し触れてみたい方も、様々なレベルの方がいらっしゃると思うのですが、トシさんご自身はどんな方にヨガを伝えたいですか?
僕のクラスは対面だとインストラクターの方がメインになってきているのですが、オンラインだとインストラクターじゃない人も受けやすいようで受けに来てくれるので、対象は全ての人なんです。どんな方にも伝えられるように、カリキュラムを変えていますし、初心者向けのクラスもやっています。
ただ、ファイブエレメンツヨガでは認定制度を作っていまして、トレーニングをレベル1〜3まで終了して、その後に実技と筆記の試験があって、そこまでクリアしたら認定証をお渡ししているんです。その認定者たちはまず、「初めてのファイブエレメンツヨガ」と銘打つようなクラスを教えて初心者の生徒さんを育てます。その生徒さんが成長して、僕のワークショップに来てくれるという流れを作っているんです。だから、僕が教える対象はすべての方ですが、対面だとインストラクターの方が多いですね。
ーちなみに、RussellMEプレミアムでのスペシャルレッスンはオンラインですが、初心者の方も大丈夫ですか?
はい。初心者の方にも受けてもらえるように、簡単な解剖学の要素を入れています。まずは解剖学のアプリを使ってわかりやすく説明します。「今日はこういうことをしますから、ここを使っていきましょう」などとお話しして、たくさんあるファイブエレメントのアライメントのうちからひとつお伝えして、まずは経験してもらおうと思っています。
ーこれから何をするのか可視化されると初心者の方にもわかりやすいですね。
そうなんです。初心者の方にいきなり解剖学用語などを使いすぎると難しくなってしまうから、もっとわかりやすくしたいんですよね。インストラクターの方が受けても、改めてファイブエレメントのアライメントやアジャストを知ってもらえる機会になったら。どんな方が受けても何かしら得るものがあるクラスを提供できたらと考えています。
ー最後に、これからトシ先生のレッスンを受ける方に一言お願いできますか?
僕が伝えたいことは、自分の体を楽しんでほしいってことです。初心者の方は特に、自分の体が硬いとかポーズができないことにマインドを持っていかれやすいですが、そうではなくて、ただ自分の体を楽しんでほしい。自分の体や感情、思考によってポーズを作り上げていて、ポーズを作り上げていく過程にヨガの教えがたくさん詰まっているので、その過程を楽しんでほしいです。
ーポーズを深めたい方だけでなく、現代人ならではの悩みを抱えた人にもファイブエレメンツヨガは助けになりそうですね。
ヨガって体と心、その2つのものじゃないですか。だから、体に特化したクラスでも、精神と繋がるようなクラスを心がけています。ポーズって人生の場面じゃないですか。もう本当にキツい場面もあれば、凄く居心地がいい場面もあれば、ちょっと迷うような場面もあって。ボーズの練習を通して人生の様々な場面を経験しているんですよね。状況によって自分がバランスを取って1番いい選択ができるようにポーズの練習をしていく経験は、オフザマットで生かされると思います。
ートシ先生、ありがとうございました!
Text: 磯 沙緒里
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